2014年8月20日水曜日

うつ病の診断④


今回も、うつ病の診断ということで、DSM-IV-TRICD-10の診断基準の続きで、
大うつ病エピソードについてお話していきたいと思います。

大うつ病エピソードとは、少なくとも2週間以上の深刻な抑うつ気分の愁訴によって特徴付けられています。
エピソードは、単発または繰返しであり、軽度(いくつかの愁訴が最低限の基準に該当する)、
中度、深刻(社会的や職業的能力を妨げている)に分類されます。
精神病性の要素を伴うエピソードは、
一般に精神病性うつ病(en:psychotic depression)とよばれ、
深刻(severe)であると格付けされています。
もし患者が躁病や軽躁病のエピソードを持っていれば、
診断は代わりに双極性障害となります。
時折、躁病が伴わない抑うつは感情が1つの状態や極位に位置しているため
 unipolar と呼ばれます。
DSM-IV-TRでは、症状が死別によるものである場合は除外しているが、
その気分が長期化し大うつ病エピソードの特徴付けられる要素がある場合は、
死別を原因として抑うつエピソードに入る可能性があるとしています。
しかし、抑うつを引き起こした個人の他側面と社会的な状況を考慮していないという点について、
批判の対象となっています。
加えて、いくつかの研究では、
DSM-IVのカットオフ基準について感情的サポートが乏いことにより、
様々な長期間の抑うつについて重症度と期間の面から診断基準を示しています。
関連する診断に、

気分変調症(慢性的だが軽度の気分変調)、
再発性軽度うつ病(en:recurrent brief depression, 軽いうつ病エピソード)
マイナー抑うつ病(en:minor depressive disorder, 大うつ病の軽いエピソードの幾つかのみが存在)
適応障害を伴う抑うつ(特定のイベントやストレッサーにより起こされる精神的結果、落ち込み)

があり、これらを診断で除外する必要があります。

次回は、うつ病・うつ状態の分類について解説していきたいと思います。


2014年2月25日火曜日

うつ病の診断③

今回は、うつ病診断ということで、

DSM-IV-TRとICD-10の診断基準についてお話していきたいと思います。


抑うつについて最も広く用いられる診断基準は、

アメリカ精神医学会による精神障害の診断と統計の手引き改訂4版(DSM-IV-TR)と、

もう一つは世界保健機関の疾病及び関連保健問題の国際統計分類(ICD-10)であり、

その中ではrecurrent depressive disorder(再発性抑うつ障害)という

名称を用いている前者は米国および非ヨーロッパ諸国で多く用いられ、

後者はヨーロッパで多く用いられています。

双方の製作はお互いに反映し合いながら行われています。

双方のガイドラインでは典型的な抑うつ徴症を示しています。

ICD-10では3つの抑うつ徴症(depressed mood, anhedonia, and reduced energy)を示し、

そのうち2つはうつ病の診断確定に必須です。

また、DSM-IV-TRでは2つの主な抑うつ徴症(depressed mood, anhedonia)を示し、

少なくともひとつが大うつ病の診断確定に必須です。

DSM-IV-TRでは大うつ病は気分障害に分類されます。

診断は単発または繰り返される大うつ病エピソードに基づきます。


追加の情報はその他の障害と区別するために用いられています。

特定不能うつ病性障害(en:Depressive Disorder Not Otherwise Specified)は、

抑うつエピソードが大うつ病エピソードを満たしていない場合に診断されます。

ICD-10の仕組みでは大うつ病をという言葉を使っていませんが、

うつ病エピソード(軽度・中度・重度)の診断のために非常に類似した一覧があります。

複数のエピソードであって躁病のないものは、

「再発性(recurrent」という表記が付けられます。


次回は、うつ病エピソードについて解説していきたいと思います。



2014年2月24日月曜日

うつ病の診断②


今回は、うつ病診断ということで、臨床評価についてお話していきたいと思います。

大うつ病の診断を行う前に、一般的に医師によって医学的検査と幾つかの調査が他の症状を除外するために行われています。
血液の甲状腺刺激ホルモン(TSC)とチロキシン測定によっての甲状腺機能低下症除外、基礎電解質と血中カルシウム測定で代謝障害の除外、全血球算定(赤血球沈降速度ESRを含む)により全身性疾患や慢性疾患の除外などがあります。
薬物の副作用やアルコール乱用も同様に除外されます。
男性の抑うつの場合、テストステロンのレベル測定によって性腺機能低下症も除外されます。
客観的認知についての問題が老人の抑うつに現れることがあるが、それはアルツハイマー病などの痴呆性疾患の可能性があります。
これは、認知テストと脳画像イメージによって認知症とうつ病を区別する助けとなります。
CTスキャンは精神病患者の脳病理を除外することができ、また異常兆候を迅速に判断することができます。
生物的テストでは大うつ病の診断を行う方法はありません。
一般的に、医学的な問題がない限り、その後検査を繰り返す必要はありません。
2011年、広島大学大学院などの研究グループが客観的に大うつ病を診断できる指標となる可能性のある物質を発見したことが、米国科学誌プロスワン電子版にて発表されました。
研究対象は既に大うつ病の診断がなされている20人と健康な18名が対象であるため、大うつ患者と健康な人を区別するのに、DNAのメチル化が指標として使える可能性がある、ということだけを言っています。
寛解時消失は確認されていません。

次回は、うつ病の診断ということで、DSM-IV-TRICD-10について解説していきたいと思います。