2013年11月19日火曜日

うつ病の原因⑤

今回は、うつ病を発症する残りの要因についてお話していきたいと思います。


薬物及びアルコールの使用

DSM-IVでは、その原因が「物質の直接的な精神的作用」に起因すると判断される場合は、

気分障害の診断を下すことはできないとされています。

大うつ病に似た症状が物質乱用や薬物有害反応によって起こされていると判断される場合、

それは"substance-induced mood disturbance"と定義されています。

アルコール依存症または過度のアルコール消費は、

大幅に大うつ病の発症リスクを増加させます。

また、逆にうつ病が原因となってアルコール依存症になる場合もあります。

ベンゾジアゼピンは不安障害や不眠症の人が服用する薬で、

アルコールと同様に、ベンゾジアゼピンはうつ病発症リスクを増加させます。

この種類の薬は不眠・不安・筋肉痙攣に広く使用されています。

このリスク増加はセロトニンとノルエピネフリンの減少など、

薬物の神経化学への効果が一因である可能性があります。

ベンゾジアゼピン系の慢性使用も抑うつを悪化させ、

うつ症状は長期離脱症候群の1つである可能性があります。

ただし、うつ病に伴う睡眠障害に処方される睡眠導入剤には、

ハルシオン、デパス、フルニトラゼパム、エリミン、ニトラゼパムなど

ベンゾジアゼピン系の薬が多い。

JCPTDでは、薬物治療急性期には抗うつ効果発現までの

ベンゾジアゼピン系薬物処方は有用であるが、

依存性のため長期投与は推奨されていません。

国立精神・神経医療研究センター(NCNP)のガイドラインでは、

うつ病性不眠治療について、抗うつ薬と睡眠薬の併用がQOLを改善するとした

ランダム化比較試験結果は複数存在するが、

睡眠薬治療で実際に自殺や再発を減少させるか否かを検証したランダム化比較試験は、

現在まで行われていないと述べています。

うつ病の不眠に対して睡眠導入剤は効果的です。

睡眠導入剤で不眠に対処することが

抗うつ薬の治療効果を高めることが知られています。

不眠症状を軽減することによって、

身体疾患症状(抑うつ気分、疲労感など)が緩和される効果も期待されています。


ライフイベント

閉経、財政難、仕事の問題、人間関係のトラブル、近親者との死別による分離等があります。


社会的要因

貧困と社会的孤立は、一般的に精神衛生上の問題のリスク増加と関連しています。

児童虐待(物理的、感情的、性的、またはネグレクト)も、

後年になってうつ病を発症するリスクの増加に関連付けられています。

成人では、ストレスの多い生活上の出来事が

強く大うつ病エピソードの発症に関連付けられています。

生活上のストレスがうつ病につながる可能性が増加したり、

社会的支援の欠如がうつ病につながる可能性があります。


次回からは、うつ病の診断について解説していきます。


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